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2012年5月 5日 (土)

試練の時

記憶の中に、少ししか存在しない父。

 

「父」と呼ぶのも、正直、私の中では抵抗を感じる存在になってしまっている。

幼き頃は、追い求めていた部分もあったけど、

いつしかそんな心も何処かに消えてしまった。

兄たちはその後、1,2度父と会う機会があったようだが、私は、何十年と会う事は無く、

結局、今、おぼろげな記憶でしかない父を送ることになってしまった。

 

今回の父の死に当たって、その兄弟の中で最も父と縁の薄かった私が、

亡き兄、海外赴任中の兄に代わり、

一番動き回らなければならない立場になってしまったのも、何かの因縁だろう。

    ・ ・ ・ confident

父がどんな顔をしていて、どんな体型だったのか全く知らない。

もちろん父の声も記憶の中には全く無い。

何十年もの間、父が何処でどう暮らしていたのかも全く知らない。

父が出て行った後の我が家の生活苦も、私はまだ幼かった為、

兄たちほどは、実感することなく育ってきた。

だから、私には

父への憎しみとか恨み(兄たちがこれを持っていたかは知らないけど)の様なものは

初めからあまり無い。

ただ、私がずっと抱いていた(子供の頃の話だけど)のは、

「父のいる普通の家庭が欲しかった」という事だけだった。

それが叶わなかったことに対する想いが、私の中でだんだん父を遠ざけ、

父を触れてはいけないもののような存在にしてしまっていた感じがする。

  (もちろん、何処に住んでいるのか、何も知らなかった訳だけら、

                  縁を切って、遠ざけていたのは向こうの方だけど)

 

その寂しさを克服して(?)ここまで来た私の中では、

もうすでに 父は亡き者になっていたのかもしれない。

父の死の知らせに、涙が出なかったのもそのせいかも。

 

しかし、ここ数週間いろいろな作業をしていくうちに、

少しだけ・・・ほんの少しだけ、父の生活ぶりを知った。

亡き兄の葬儀の際、父方の親戚の人から訃報を聞いた父は

何時間も車を走らせ、一人で兄の死を確認しに来たらしい。

もちろん、私たち家族の前に顔を出す事は無かったから

許されない事は承知していたのだろう。

斎場の外で手を合わせて帰ったのかな?・・・think

知らなかった。

<・・・少しは父親としての認識が有ったんだ>

心は複雑だ。

 

こういったことを知っていくというのは、

自分の中では心重い作業だという事は言うまでもない。

知れば切なくなるのは分かっている。

でもここが神様が私に与えた試練なんだろうね。

”許せるのか?”

     ・ ・ ・ think

 

”亡くなった人の事はもう悪く言うのは止めよう!”

亡き父の話している時に、母の口から出た言葉だった。

”そうだね、もういいよね” 私はそう答え、記憶の中にある父との数個の思い出を

母に語った。「夢の中の体験けも知れないね」 と 付け加えた私の話に母は、

”そう、そんな父親らしい事もしてくれた時があったのね” と 微笑んでいた。

     ・

     ・

     ・

 

昨夜見た、「月光」のように、

澄んだ淀みのない気持ちで、父の納骨まで、まだ続く作業をしていきたいと思う。

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コメント

東京に帰る車中です。月(満月かな)がとても綺麗です。お父様、やはり心のなかではおめめさん達のことを思っていたのですよ!彼女の入院中、妹さんから、私と出会う前のことをいろいろ聞かされました。ひどい姉だったと言っていましたよ。でも、亡くなってしまったので、どうでもいいことなんです。いろいろ物思いに耽りながら月を眺めています。勿論カンチューハイ飲みながらね(笑)

HIROさん こんばんは。
亡くなってしまった人の思い出は、いい思い出だけを、
心に留めて置いたら、いいのでしょうね。

ホント最近、私も物思いに耽る事、多くなった気がします。
お酒は 飲む機会が、ぐっと減りましたけどネ。

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