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2009年8月29日 (土)

ただいまー!

夫の実家に帰り玄関の扉を開けると、亡き夫はいつも、

”ただいまー!”と大きな声で挨拶をした。

         つられるように私も”ただいま帰りました!”と言う。

 夫の実家は、私たちが結婚して一年目に母が亡くなり、その翌年に父が亡くなり 

主なき空き家となっていた。(夫の仕事の関係で私たちはここに住んではいない)

その実家に私たちが休みの度にお掃除、庭の手入れ、畑の手入れの為に通った。

 誰もいない家なのに 亡き夫は必ず大きな声で

”ただいまー!”と 挨拶をした。

 夫が逝ってしまった今、私は今住む我が家に帰ると

”ただいまー!”と 誰もいない我が家に挨拶する。

そして奥の方から、聞こえてくるはずの無い

      ”お帰りー!”という夫の声を 耳を澄ませて一瞬待つ。

  

・・・あの頃はあまり意識した事はなかったが、

”ただいまー!”と あの時、挨拶した夫は

       亡き父母に声をかけていたのではなかったのか。

そして、今の私のように

”お帰りー!” と 言う母の声に耳を傾けていたのかも知れない。

 あの頃の思いやりの足りない私はそんな夫の気持ちを察する事が出来なかった。

ただの決まりごとぐらいにしか考えていなかった。言い訳の様だが私の母は

まだ健在なので、その頃身近な人との死別の本当の意味での辛さが

分からなかったということもある。それでも自分なりには夫をサポートしてきたつもりでは

あるが、夫には私がいるから大丈夫という自負があったのかもしれない。

 両親との死別という夫のストレスは、今思えば、私の存在では追いつかないものが、

有ったに違いない。

     ・・・think

 思い出のいっぱい詰まった実家に帰れば、夫もいろいろ思う事があっただろう。

しかし、亡き夫の口からそんな事を嘆く言葉など、私は一度も聞いた事はなかった。

あの大きな声の”ただいまー!”が 今考えると 夫の亡き両親への甘えの言葉。

      ・・・唯一の嘆きだったのかもしれない。

 きっと夫は ”そんな事はないよ” と 男として強がりを言っているだろうけど。

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