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2009年2月28日 (土)

私の出会った<おくりびと>

アカデミー賞を取ったことで<おくりびと>の映画の話題がいっぱいです。

でも今の私にはまだ、この映画は重いので見ていません。

おくりびとと聞くと、二年前に亡くなった兄の納棺時の納棺師を思い出します。

  

兄は自宅で闘病生活をしていて、自宅で息を引き取りました。

納棺師が来る前に家族で、生前兄が気に入っていた洋服が着せられていました。

 

”このお洋服は御主人がお好きだったお洋服なんですね。”

”靴も履かせてあげましょう。” 

と やさしく語りかける納棺師。

”それではこれから亡くなられたご主人様のお清めです。”

奥さまはこちらへと兄の枕もとに義姉が座る。

”さあ、最期の膝枕ですよ。” と 兄の頭を義姉の膝の上にのせる。

お子様方、お母さまはこちらにとその両側に案内する。

           私ともう一人の兄は左右の手の位置に座る。

”それではみなさんで、お清めをしてあげましょう。” 

手渡されたガーゼで兄をそれぞれがいろいろな思いを込めて丁寧に拭ってあげる。

納棺師はゆっくり、私たちにお別れの時間を作ってくれる。

そして、納棺。

”御主人の好きな食べ物はなんですか?”

急に質問されたので、兄の家族はびっくりして顔を見合せて

思わず、昨日喜んで食べていたという ”カレーライス!” と 答えた。

”では、それがあればそれを入れてあげましょう。”

「でも昨日のは食べちゃって残ってないし」 と 誰かがつぶやいていると

”そうですかー、他に好きな物があったらそれを入れてあげてください。”

あれが好きだった、これが好きだったとみんな口々に言う。

”すぐに食べられるように封を開けて、入れてあげてくださいね。”

枕もとに置かれたギターを見て

”御主人は音楽が好きだったのですね。楽譜か何か入れてあげましょう”

義姉はこれでもいいかしらと、ギターのピックを入れた。

”御主人は学者さんでいらしたんですよね、論文とか本(薄い物)とかは?”

”ありますか?”

”さみしくないように、みなさんの写真も入れてあげましょう。”

  

納棺師は、やさしく、穏やかに兄の家族に語りかけるように話しかけ、

はじめは涙に濡れていたみんなの顔も、楽しく過ごした日々を思い出し

やさしい笑顔になり、棺に納まった兄の周りを取り囲んでいた。

兄は好きな食べ物・よく弾いていたギターのピック・最期まで復帰を願った仕事の論文・

そして何よりも大切な家族の写真で埋め尽くされている。

心に残る納棺の儀だった。

  

 納棺師の死者と残された家族へのいたわり方が

           仕事という枠を超えた思いやりに感じた。

                これが、<納棺の儀>だと心に残るものだった。

      :

誠に残念なことに、

その一年後、私はこの時の納棺師のことばを ひとつ、ひとつ思い出しながら

    <我が夫の納棺の儀> を することになってしまった。

                                                     

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